CFCLは、衣服の製作において地球環境へ配慮すると同時に、地域社会との連帯、最適な国産素材の選択、サプライチェーンの透明性を追求しています。それらが衣服の機能性を高めることと同様に、重要と考えているためです。
VOL.2コレクションでは、VOL.1に引き続きライフサイクルアセスメント(LCA)を実施するとともに、地球環境や基本的人権への責任が認証された素材の使用率を算出しています。また、シーズンアイテムの残り糸を使用した、アップサイクルアイテムを販売しました。新たな取り組みとして、SDGs Performance Guidelineのアンケートをサプライヤー各社へ実施しました。
日本における温室効果ガス排出の実質ゼロ達成目標時期は、世界先進各国と同様に2050年です。2030年には、中間目標として2013年度よりも排出量を46%削減する必要があります。
私たちは「B Corp」の認証取得を目指し、2021年5月に正式申請を完了しました。既にこの認証を取得した世界各国の企業の多くは、2030年以前にカーボンニュートラル達成を目指すと掲げています。
上記を踏まえ、VOL.1に引き続きLCA(ライフサイクルアセスメント)を実施しました。(*1)今回のVOL.2では、LCA対象範囲をPOTTERYシリーズの全4型に拡大しました。まずは自社がもたらす炭素排出量を正確に把握することで、最適な脱炭素アプローチを日々模索しています。そして、2025年までに全型対象範囲とすることを目指します。
VOL. 2実施内容 (2021年7月発表):
これは、POTTERYシリーズ全4型の温室効果ガス排出量です。シーズン全36型のうち、4型(約11%)を算出しました。
1. POTTERY DRESS(long sleeve)5.17kg-CO2e/1着(500ml PETボトル容器30gで、20本分)
2. POTTERY KAFTAN(long sleeve)5.24kg-CO2e/1着(同じく、20本分)
3. POTTERY TOP 2.70kg-CO2e/1着(同じく、9本分)
4. POTTERY SKIRT 4.38kg-CO2e/1着(同じく、18本分)
私たちは、この排出量を日本政府が目指す2050年より20年早い、2030年までに実質ゼロ(カーボンニュートラルの状態)にすることを目指しています。今後ライフサイクルに関わるすべてのサプライヤーやパートナー各社の協力のもと、素材の選定をはじめ様々な取り組みをし、SDGsに代表される社会課題の解決を目指しています。
※ペットボトルの再生糸で作られたPOTTERY DRESSは、新たに石油採掘して生産した糸で作るときに比べ、約50%程度の温室効果ガスを削減。(*2)
※「従来のコットンで生産したTシャツ1枚(150g)で3.4kg-CO2eの温室効果ガスを排出」(*3)という研究結果があり、 POTTERY DRESS1着と同等の重量とすると従来コットンで作る場合「10kg-CO2e以上」の温室効果ガス排出に相当
*1IDEAv2.3を使用して算定(LCIデータベースIDEA version2.3, 国立研究開発法人産業技術総合研究所安全科学研究部門社会とLCA研究グループ, 一般社団法人サステナブル経営推進機構)
*2 自社調べ
*3「衣類を対象にしたCO2及び水のインベントリ分析」東京都市大学 環境情報学部 環境情報学科 伊坪徳宏研究室
コレクションの量産時に、グローバル・リサイクル・スタンダード(GRS)などの国際的な基準を満たした素材がどのくらい使われているのかの使用率を、別注商品を含む全ての商品から算出(*)しています。VOL.1では58.12%でしたが、VOL.2では58.84%とわずかながら上昇しました。
しかし、いまだに課題は多くあります。VOL.1から共通しているのは、認証取得したリサイクル素材ではない、石油由来繊維であるポリエステルが全体の約12~14%を占めていることです。またVOL.2では、認証を取得していないウールが全体の約26%使用されました。
国内外のマーケットにはすでにリサイクルポリエステルや再生ウール素材は存在しますが、まだ選択肢が少ないのが現状です。CFCLを構成する3大要素の一つである “Sophistication” に適しないと考えたため、今回使用には至りませんでした。そのため、現在も日本国内の繊維メーカーと協議をしながら、素材の開発・ 商品化を目指しています。今後も使用率の数値を公表し続け、各社と協力しながら、2030年までに再生繊維100%の衣服の製作を目標としています。
*今回の集計にボタン、ファスナー、紐、ウェストゴムなどの付属素材は含まれておりません。
VOL.2では、新たな取り組みとしてサプライヤー各社へSDGs Performance Guidelineのアンケートを実施しました。私たちは、社会や地球環境に負荷を与えている様々な事象に責任を持ち、商品や事業運営を通して、できる限りの解決をしていきたいと考えています。
VOL.1から、基本的な⽇々の事業運営において、まずは⾃社ができていること、できていないことを把握し行動していくために、パフォーマンスガイドラインを作成しました。
現在のSDGsに関して世界の危機的な実情を考えると、私たち⼀社で対応できること、社会・地球環境にインパクトを与えることは限られています。こうした⽬標を実現していくために、サプライヤー各社と共に協働・協創していく姿勢が不可⽋であると考え、アンケートを実施しました。
①回収率:86%
②全質問数:151
③全体回答傾向1:39%「A.問題なく実施できている+B.およそ実施できている」
④全体回答傾向2:38%「C.⼀切実施できていない」
⑤設問事例:会社の方向性や姿勢として、課題認識があるかどうか、対応しているかどうか、を把握しています。
⑥今後:今回のアンケートでは、各設問に関して具体的な数値での回答を求めていません。上記⑤について把握することを第一としており、来期以降に数値の把握も含めて改善へのロードマップを作成し、各社と協力していきたいと考えています。
ガイドラインには151のチェック項⽬があり、各項⽬A〜Eの5段階で評価し、コメントをいただくリストになっています。いずれも、SDGsの実践にあたり企業が確認する際のガイドラインとして、CFCLが作成したものです。SDGsの17のゴールと169のターゲットを全てカバーしきれていませんが、私たちと共にサプライヤー各社が⾃主評価をしていただくことで、今後の取り組みをより強化できればと考えました。
私たちは、SGDsへの取り組みは企業本来の信⽤価値であると考えています。実際の取り組みをお客様へ公開し透明性を確保しながら、あらゆる関係者の方々と信頼関係を構築していく。この想いを軸に、社会と共に成⻑していける企業を⽬指します。
高層ビルや集合住宅を彷彿とさせるテクスチャが特徴的な、FACADEシリーズのアップサイクルアイテム。
UPCYCLED FACADE TOPは、色ブレを最小限にするためにわずかに残していた糸を無駄にしないように、アップサイクルした糸を使用しています。袋編みの裏側はイエロー、ライトブルー、ライトグレーを引き揃え、表側をブラックで編み立てました。