CFCLは2025年、設立5周年を迎えました。当初からクリエイションとサステナビリティの両立を前提とし、デザイナー個人の美意識を表現するのではなく、デザインや量産プロセス、さらには経営方針に至るまで現代に必要と考える要素を取り入れた事業活動を行っています。この5年の中では、B Corp認証取得 (2021年) やパリ・ファッションウィークへの参加 (2022年) など、様々な挑戦を続けてきました。
今年はB Corpの再認証に備えて、現在その手続きを進めています。このプロセスは、私たちのステークホルダーとの向き合い方を見直す貴重な機会となりました。創業期から成長期へと移行するCFCLは、次の10年を見据え、今後もステークホルダーの価値に応える活動を推進してまいります。
VOL.9では、以下の3項目に注力して取り組みました。
1. 素材の調達
地球環境および生産者の労働環境への責任の履行が認証された素材の使用率向上
2. LCA (ライフサイクルアセスメント)
絣染めを施したリサイクルポリエステル製品の検証結果
注染を施したシルク製品の検証結果
付属YKKファスナーの検証結果
3. コミュニティ領域での活動
主要な取引先工場へのSPG (SDGs Performance Guideline) の実施
I. 地球環境および生産者の労働環境への責任の履行が認証された素材の使用比率
図1 VOL.9コレクションで使用された素材の使用比率*1
*今回の集計にボタン、ファスナー、紐、ウェストゴムなどの付属資材は含まれておりません。
CFCLでは原料段階から地球環境や基本的人権への責任の履行が認証された素材の積極的な使用を進めています。VOL.9コレクションでは、使用素材のうち91.91%が認証素材となり、前春夏シーズンのVOL.7 (90.52%) から1.39ポイント上昇しました。この成果は、ヴァージンポリエステルやヴァージンナイロンなどの非認証素材の使用削減に加え、FSC®認証を取得したアセテート素材を新たに導入したことによるものです。
一方で、一部の製品にはヴァージンポリエステルやヴァージンナイロン、ポリウレタンなどの非認証素材が引き続き使用されています。これらはCFCLの洗練されたデザインや高い機能性を維持するうえで現時点では欠かせない要素であり、代替素材の開発や調達に向けて、サプライヤーやメーカーとの継続的な対話を重ねています。
具体的な取り組みとして、次シーズンのVOL.10では一部ナイロンをGRS認証素材に置き換えることが決定しており、VOL.11からは定番商品の一部において、ヴァージンポリエステルから再生素材への置き換えを進めています。デザイン段階から素材の選定を見直し、さらなる認証比率の向上と環境負荷低減を目指しています。
また、パリ・ファッションウィークで発表するコレクションにおける表現の幅を広げるなかで、国産シルクを使用した製品も展開しました。養蚕や製糸などの生産現場まで直接確認が可能なサプライヤーから調達していますが、シルクに関しては第三者認証の取得事例が極めて限られているのが現状であり、私たちが使用しているシルクは非認証素材に該当します。
こうした課題がありながらも、非認証素材の使用を全体のわずか10%未満に留められました。2030年までに認証素材使用比率100%を達成するという私たちの目標に向けて、引き続きサプライチェーンやメーカーとの連携をより一層深めてまいります。
図2 春夏シーズンにおける認証素材の使用比率の推移
CFCLは「2030年までのカーボンニュートラル達成」を目指して、製品の環境負荷を可視化し、より持続可能なものづくりを実現するため、各シーズンにおいて製品のLCA(ライフサイクルアセスメント)を実施しています。原料の調達から製造・輸送・廃棄に至るまでの温暖化ガス排出量を定量的に算出し、製品ごとの環境影響を明らかにしています。
2024年9月27日、パリ・ファッションウィークにてVOL.9コレクション (2025年春夏) を発表しました。「Knit-ware: Handbuilt」というテーマのもと、3Dコンピューター・ニッティングに向き合ってきたCFCLが、世界各地で脈々と受け継がれてきた人間の手仕事との融合を試みています。手びねりで器を形作るように、Knit-wareの可能性を探求し、マシンメイドとハンドメイドの交差点を見つけていく中で、日本や世界の伝統的な染色技法に着想を得た新しい表現にチャレンジしました。
今シーズンは、全183型中148型 (約81%) の製品でLCA算出を実施し、前シーズンに比べて大幅に対象型数を増やすことができました。2025年度中には全型番でのLCA算出を目指しています。
また、毎シーズン多用するファスナーについても、YKK株式会社の協力のもと、LCA算出を実施しました。
今回のレポートでは以下3つの具体的な取り組みを紹介します。
Ⅰ. 絣染めを施したリサイクルポリエステル商品の算出
Ⅱ. 注染を施したシルク商品の算出
Ⅲ. 付属YKKファスナーの算出
Ⅰ. 絣染めを施したリサイクルポリエステル商品の算出
1つ目は、東南アジアで広く作られている、染めた糸を織って柄を出すイカットにアイデアを得て、再生ポリエステル糸をプライマリーカラーで染め分けて編み上げた「KNIKAT」をご紹介します。
KNIKATは、従来のリサイクルポリエステル製品とは異なり、特別な染色工程を踏んでいます。通常、私たちが使用する再生ポリエステル糸のほとんどは北陸の染色工場で仕上げられた後、ニット工場に納品され製品化されます。しかし、KNIKATでは、一度石川県の染色工場で白く染めた糸を愛知県一宮市の染色工場へ送り、さらに絣染めを施す、という工程を加えています。複数の工程を経ることで通常の染色工程では生まれない、奥行きのある独特な色彩が表現されています。
原料のリサイクル段階から染色・編立に至るまでのプロセスを、以下動画・写真とともにご覧ください。
生産工程は、使用済みペットボトルを原料とし、洗浄・粉砕の工程を経てフレーク状にするところから始まります。
ペットフレーク素材は溶融・押出により紐状に加工された後、ペレット化されます。
ペレットは紡糸工程にて繊細なポリエステル糸に加工され、スプールに巻き取られます。
再生ポリエステルは石川県の染色工場で白に染め上げられた後、愛知県の特殊染色工場へ運ばれ、精密に部分ごとに染め分けされます。
染め上げた糸は3Dコンピューター・ニッティング技術を用いて編み立てられ、複雑なニット構造により深みのある色合いが生み出されます。
このように、複数の工程を経て完成するKNIKATシリーズについて、LCA(ライフサイクルアセスメント)を実施した結果は以下の通りです。(図3)
図3
検証の結果、同型の単色モデルに比べておおよそ7〜33%の温暖化ガス排出量の増加が認められました。(図4)
これは、前述した絣染めの工程が追加されたことに起因します。
図4
また、工程別でも、従来の再生素材を用いた製品では、ライフサイクル全体の中で最も温暖化ガス排出量が多いのは「製品製造 (ニッティング) 」でした。しかし、KNIKATでは「素材加工 (糸加工・染色) 」による排出量がそれに並ぶ数値となりました。
この結果を受け、CFCLはこの課題に向き合いながらも、日本の伝統工芸や職人技術、ものづくり産業の継承に寄与したいという想いから、染色による表現の探求を今後も継続していきます。一方で、製品製造における環境負荷の高さについては、以前より課題として認識しており、再生可能エネルギーの導入を優先的に進める必要があると考えています。
まずは、自社工場であるCFCL Knitting Lab.での再生エネルギーへの切り替えを目指し、段階的な実装を通じてカーボンニュートラルに向けた取り組みを加速させてまいります。
II. 注染を施したシルク商品の算出
2つ目は、日本の伝統的な染色技法である注染に着想を得て、国産シルクを使用したドレスにサイケデリックなモチーフで製品染めを施した「SILK CHUSEN」。
今回のコレクションではシルクを使用した製品において、芯糸に中国で紡績された絹紡糸を用いながらも、外側を包むカバーリング糸には、群馬県で養蚕・製糸された純国産の生糸を採用しています。外層に使用されたこの純国産シルクは、養蚕から製糸、糸加工、染色に至るまで日本国内で行われており、トレーサビリティが確保された素材です。
また、本製品は、たんぱく質由来のコーティング加工によって防縮性を持たせることで、手洗いが可能となっています。一般的なシルクのウォッシャブル加工で用いられる石油系樹脂は使用せず、環境負荷の低い方法を選択しています。素材本来の艶やかさと、シルク特有の優れた発色性が、製品に気品と奥行きをもたらしています。
日本における養蚕から編み立て・染色に至るまでのプロセスを、以下動画・写真とともにご覧ください。
生産プロセスは、蚕の飼育から始まります。桑の葉を食べて育った蚕が美しい繭を作り上げます。
繭は収穫され、細く一本の絹糸に加工されます。この工程では、繭から連続した長い絹糸を丁寧に引き出していきます。
長く連続した一本の糸は、慎重にスプールに巻き取られます。
繊細な糸はドレスに編まれて、染色の工程へと進みます。
編み上がったドレスは、注染技法から着想を得たサイケデリックなモチーフに染色され、シルクの持つ高い発色性によって鮮やかに仕上がります。
最終工程では、アイロン仕上げやディテール調整が施され、製品として完成を迎えます。
このように、複数の工程を経て完成するSILK CHUSENについて、LCA (ライフサイクルアセスメント) を実施した結果は以下の通りです。(図5)
図5
検証の結果、同型の単色モデルに比べておおよそ7%の温暖化ガス排出量の増加が見られました。(図5)
これは、前述した注染の工程が加わったことに起因します。
原料調達から糸加工に至るまでの各工程において、サプライヤーからの具体的な活動量データの取得が難しく、今回のLCA算出では原料調達〜糸加工間のLCIデータベース数値を代用する形で算出し、評価を行いました。
特に、芯糸に使用されている絹紡糸は海外にて養蚕・紡績されたものであるため、原料段階でのトレーサビリティを辿ることができませんでした。また、日本国内で行われている糸加工の工程における温暖化ガス排出量に関しても、詳細な情報の取得には至りませんでした。
加えて、GOTS認証など国際的な認証取得についても、現時点では複数の課題が残されています。現在、日本のシルク産業の需要は和装向け用途が中心であり、国際認証に対する需要が限られている上、その対応に必要な人材や設備も十分に確保されていないのが実情です。長い歴史を持つ日本の養蚕業・製糸業は今も各地で継承されているものの、高齢化や担い手不足といった構造的な課題により、持続的な発展に向けた取り組みが求められています。
今回はシルクのもつ魅力と、その背景にある技術や営みを見つめ直す機会となりました。これからも、素材や技術に敬意を払いながら、その関わり方に丁寧に向き合っていきます。
Ⅲ. 付属YKKファスナーの算出
CFCLでは、衣服の機能性や表現の多様性を高めるために、さまざまな付属品を使用しています。衣服の大部分を構成する糸に比べれば重量も使用量も少ないものの、ファスナーやボタンといった付属品もまた、製品全体の環境負荷に一定の影響を及ぼす要素です。
これまで私たちは、一部付属品のLCA算出にも取り組んできましたが、糸と比べて使用量が少ないことや、金属など複雑なサプライチェーンを持つ素材が課題となり、数値の把握が難しい状況でした。そのため、外部データベースを活用した簡易的な推計や、カットオフ*2の対象とするケースも少なくありませんでした。
こうした中、今回CFCLが使用している代表的な付属品であるファスナーについて、YKK株式会社協力のもと、実測値に基づくLCA算出を実施することができました。
対象としたのは、以下5種類のファスナーです。
- YKK CONCEAL® NATULON® Zipper (コンシールファスナー):ブルゾンのサイドポケットに使用
- YKK NATULON® METAL® Zipper Size 5 (メタルファスナー サイズ5):ブルゾンの前開きに使用
- YKK METAL® Zipper Size10 (メタルファスナー サイズ10):重めのアウターの前開きに使用
- YKK FLATKNIT® NATULON® Zipper (フラットニットファスナー):メンズパンツの前開きに使用
- YKK NATULON® Coil Zipper Size5 (コイルファスナー サイズ5):バッグの開口部に使用
これらを使用した製品のLCA結果は以下の通りです。(図6)
図6
今回の検証では、ファスナーが全体の温暖化ガス排出量に占める割合は、付属品の重量比が大きいバッグでは約14%と比較的高く、一方、衣服では3%未満にとどまることが確認されました。
なお、YKK株式会社では、再生可能エネルギーの採用や、ファスナーのテープ部分を再生材にしたNATULON® ファスナーへの切り替えを進めているほか、テープ部分以外でも金属部品の再生材への置き換えなど、環境配慮型部材の開発と導入が進められており、今後もこれらの数値は改善されていく見込みです。CFCLとしても、引き続き付属品のサステナビリティに関する調査と対話を継続し、製品全体の環境影響の把握と低減に努めてまいります。
SDGs Performance Guideline (SPG)
CFCLは創業以来、ファッション産業が抱える社会・環境課題と向き合い続けています。2021年には、持続可能な社会の実現に向け、サプライヤー各社と共に取り組みを促進していくため、独自に策定・運用してきた評価ツール「SDGs Performance Guideline (以下、SPG)」を刷新しました。SPGは、SDGs 17の目標、他社のチェックリスト、エコアクション21 *3を参考に、CFCLが独自に作成した全100項目により、「環境 (Environment)」「社会 (Social)」「ガバナンス (Governance)」の3つの観点から評価が行えるように構成されています。
2021年の初回実施から4年が経過した今回、各取引先との対話を重ねる中で得た知見をもとに、より実効性の高い内容へと評価基準を全面的に見直しました。以下が、CFCLのSPGの特徴と独自性になります。
- B Corp基準を取り入れ、社会性・多様性・ガバナンスも評価対象とする設計
- 5段階評価により、段階的表現で改善を促進できる柔軟な評価構造
- エコアクション21が重視する環境管理に加え、人権・労働環境・ガバナンスなどの非財務情報の補完
- 関係各社との対話を重視し、共有しながら進めることで改善を促す運用方針
SPGは、社会性・環境・ガバナンスを包括的に捉えたい企業や、既存の複数のフレームワークを統合的に活用したい企業、さらには評価を通じて取引先との対話を重ねながら改善を進めたいと考える企業にとって、有効に機能します。
以下のSPG自己評価リストは、どなたでもダウンロードして自由にご活用いただけます。より良い未来を共につくる一助となれば幸いです。
SDGs Performance Guideline Self Assessment List
主要取引先工場には5段階評価 (A〜E) での自己評価をお願いしていますが、これは各社を競争させるためではなく、全体の現在地を把握し、共に改善の道筋を描くためのものです。以下に、各カテゴリの詳細と評価結果を報告します。
SPG評価基準について
A: 問題なく実施できている
B: おおむね実施しているが、一部調査が必要な点がある
C: 一切実施できていない
D: 現在調査中であり、1か月以内に回答が可能
E: 該当なし (該当する事業活動を行っていない)
●環境 (Environment) への取り組み
温暖化ガス
エネルギー起源CO₂をはじめとした温暖化ガスの排出削減を目的に、使用電力や燃料の見える化、目標設定、第三者検証を行いながら、継続的な改善に取り組んでいます。
電気・電力
事業活動における電力使用を最適化し、再生可能エネルギーの活用や設備の高効率化を進めることで、エネルギーコストと環境負荷の同時削減を目指しています。
水
節水や循環利用、排水の適正処理など、水資源の持続可能な利用に向けた仕組みづくりを重視しています。排水の水質測定や設備の点検を通じ、地域環境への影響を最小限に抑える工夫を続けています。
廃棄
製造工程から発生する産業廃棄物や副産物について、再資源化や削減を目指した取り組みを行っています。法令遵守とともに、記録管理の徹底や適正処理先の選定も含め、廃棄物がもたらす環境負荷の最小化に努めています。
紙・資源・プラスチック
原料としての森林資源や、事業活動から生まれるプラスチック類の使用量抑制を図り、再生可能な素材の選定やリサイクルへの設計配慮を通じて、資源循環型社会の実現に寄与します。
ケミカル
化学物質の使用に伴うリスクを最小限に抑えるため、適正な保管・管理体制の構築と、漏洩や排出に関する予防措置を実施し、GHS (化学品の分類および表示に関する世界調和システム) 対応*4の表示や法令遵守を徹底しています。
大気汚染
工場・事業所における排出ガスの監視・制御を徹底し、定期的な点検とデータ記録を行い、大気への影響を抑制する取り組みを進めています。
資源保全
天然資源の使用量を最適化する視点で、生産プロセスや物流の見直しを行うとともに、調達段階から資源の選定や使用目的の明確化を図り、資源保全に努めています。
●社会(Social)への取り組み
給与、福利厚生、制度・方針
全従業員が安心して働き続けられる環境の実現を目指し、公正な報酬体系の整備や福利厚生、育児・介護といったライフステージに応じた制度設計を行っています。
地域活性化
地域社会との共生を目的に、自治体や地域団体と連携し、環境保全活動や災害対策、教育機関との協働などを通じて、地域資源の保全と社会的課題の解決に寄与します。
●ガバナンス(Governance)への取り組み
ガバナンス
経営の意思決定における透明性・多様性・倫理性の担保を重視し、社外取締役の起用や取締役会の定期開催、サステナビリティ指標の進捗管理など、企業として社会的責任を果たすための体制を整備しています。
経営・社会の健全性、多様性
健全な経営体制と、あらゆる従業員が尊重される職場環境を築くために、社内の意思決定に多様性を取り込み、透明性ある制度運営を推進しています。
次に、各工場における評価の傾向をまとめています。
上記の結果から、以下のような傾向が見られました。
高評価の工場の傾向
- 「温暖化ガス」「資源保全」「経営・社会の健全性」でA評価を継続的に取得している。
- 目標設定や外部認証の取得など、具体的な取り組みが進んでいる。
- 自社内の実践にとどまらず、パートナー企業への働きかけにも積極的
評価にばらつきが見られた工場の傾向
- 「ケミカル」「水」「資源管理」の分野で設備対応の遅れや管理体制の課題が見られる。
- SDGsやSPGガイドラインに対する理解度のばらつきが、取り組みの実施状況にも影響している可能性がある。
こうした傾向を受けて、今後は評価の高い工場の知見や工夫を他の工場とも共有しながら、ともに課題を乗り越える体制づくりを進めていきます。
あわせて、今回のSPGでは、主要なサプライヤーに加え、CFCLオフィスおよびCFCL Knitting Lab.についても評価を実施しました。これは、自社におけるガバナンス・環境配慮・社会制度の取り組み状況を、他の工場と同じ基準で把握し、内省と改善に活かすことを目的としています。
とくにCFCLオフィスでは、「ガバナンス」「経営・社会の健全性」「資源保全」においてA評価を獲得し、内部統制や透明性の高い承認フロー、環境配慮に基づいた社内ルールの整備が評価されました。
一方で、CFCL Knitting Lab.は法人格を持たない研究拠点であることから、「ガバナンス」や「法的義務」に関する項目ではE評価:該当なしが多く見られましたが、これは評価設計上の構造によるものであり、今後の指標整備において改善の余地があると捉えています。
改善に向けた具体的な取り組みとして、入居している建物のオーナーに対し、再生可能エネルギーの導入を働きかけるなど、自社の拠点からも持続可能性の実践を進めています。
SPGは、関わるすべてのステークホルダーと共に歩むための指針です。社会課題や環境課題の解決には、一社だけでなく、共に取り組むパートナーの存在が不可欠であり、私たちはこれを「共創」として捉えています。
今回は、その第一歩として、SPG自己評価リストをCFCL公式ウェブサイト上にて公開いたします。私たちが策定した評価基準を、日本のファッション産業全体で共有し、業界の底上げとより良い未来の実現に貢献することを目的としています。
今後も、継続的な対話と実践を通じて、サプライヤー各社との取り組みを報告していきます。
CFCLの取締役・役員・社員で、CFCLのポリシーに違反すると思われる発見または法律に抵触すると思われる発見をした場合は、以下の問い合わせ窓口にいつでも連絡することができます。
問い合わせ窓口:小松隼也 弁護士 (三村小松法律事務所)
email:komatsu.junya@mktlaw.jp
CFCLの最新ポリシーはこちらに記載をしております。
*1
・GRS (グローバル・リサイクルド・スタンダード) は2008年にControl Union Certificationによって策定され、2011年にTextile Exchangeに譲渡された認証プログラムです。GRSは、リサイクル含有物、加工流通過程管理、社会および環境慣行、化学物質規制の第三者による認証要件を設定する、国際的な製品基準です。
・GOTS (グローバル・オーガニック・テキスタイル・スタンダード) は代表的な国際基準策定機関によって、原料の収穫から社会的に責任のある製造を経て、消費者に信頼できる保証を与えるラベリングに到るまで、「繊維製品が正しくオーガニックである」という状況を確保する世界的なルールを定めるために開発された国際的な世界基準です。
・OCS (Organic Content Standard) 認証は、製品に含まれるオーガニック素材の含有量を第三者が検証する国際基準です。原材料から最終製品までのオーガニック素材の追跡可能性を保証し、信頼性を提供します。
・RCS (リサイクル・クレーム・スタンダード) は、最終製品に含まれる原材料に5%以上の再生材料を含んでいるかどうかを審査する国際認証です。
・FSC (森林管理協議会) は、環境、社会、経済の便益に適い、きちんと管理された森林から生産された林産物や、その他のリスクの低い林産物を使用した製品を目に見える形で消費者に届ける仕組みを保証する認証です。
・PEFC™認証 (Programme for the Endorsement of Forest Certification) とは森林資源を持続可能に利用し、環境、社会、経済のバランスを考慮した森林管理を推進する国際的な認証制度です。
*2 製品・サービスのライフサイクルでの温室効果ガス排出量に大きな影響を及ぼさないと判断したプロセスをシステム境界の外に置くこと:(参照):https://lca-forum.org/cfp/useful/glossary.html#11
*3 エコアクション21(環境経営における中小企業支援ガイドライン): https://www.ea21.jp/ea21/guideline/
*4 GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」:GHSとは、化学物質がもつ危険性を「誰にでもわかりやすく」、かつ「世界共通の方法」で伝えることを目的に、国連が策定した国際的な基準です。化学物質の分類、ラベル表示、安全データシート(SDS)の整備などが定められており、労働者の安全確保や情報の国際的な共有に寄与しています。


